自動車を納品する時期は!?【自動車の引渡しの時期】
自動車の購入時に,代金を一括して支払ってくれるお客さんは大変ありがたいものですが,頭金払って後はローンで支払ってくれるお客さんだって,それはありがたいものです。
自動車を引き渡すのは,通常頭金なり,お金を支払ってもらってから行うのが一般的ですが,契約書を取り交わした後に頭金は今月末に支払うからとりあえず自動車だけ渡して欲しいというお客さんもいることがあります。
一見さんでこのような図々しいことを言ってくる人は珍しいですが,以前にも何回も取引あるお客さんだと,販売担当者としてはそのような要望に応えたくなるのが人情っていうもの。。。
でも、このようなお客さんの要望に販売店は応える法律上義務があるのでしょうか。
答えはノーです。
この答え自体は当然と思う方がほとんどだと思いますが,この事は民法においてもきっちりと定められています。
同時履行の抗弁権!?
自動車の売買契約を取り交わしたとき,販売店には自動車を引き渡す義務があり,買主は代金を支払う義務があります。
この二つの義務は互いに関係し合う対価関係に立つので,公平な取引を実現するために,同時に義務を履行しなければならないと定められているのです。
民法では,「同時履行の抗弁権」といわれる制度になります。
要はお互いやるべき事は一緒にやりましょうということで,後出しじゃんけんはだめですよと言っているだけです。
これは,自動車の売買契約だけでなく,自動車の修理の場合も同じです。修理した車を引き渡すときも,この同時履行の抗弁権によって,代金支払と同時にということがいえるのです。
この同時履行の抗弁権というのは,どんな義務でもいえるわけではなく,対価関係に立つ義務というのがポイントです。
お客さんが,A車の購入代金を支払ったけど,B車の修理代金をまだ支払っていない場合,店としてはB車の引渡しは拒めるけど,A車の引渡しを拒むことはできないということになります。
B車の修理代金支払の義務とA車の引渡義務は,関係が無く対価関係に立たないからです。
先にお金を回収することは!?
ここまで,読んできて,あれっと思う方がいるかもしれません。
それは,うちの店では,先に代金をもらって後から自動車を引き渡しているけどそれは法律違反?っていう疑問です。
ただ,安心してください。この同時履行の抗弁権というのは,あくまで原則であって,例外を契約当事者同士が決めることには何の問題もありません。
飲み屋のつけばらいも飲食店が了承しているから食い逃げみたいな問題にならないのです。
だから,お客さんが納得しているんであれば,代金を先にもらって自動車の引渡を後にすることに問題はありません。逆も同じで,最初の質問の場面のように,信頼あるお客さんの場合,店の判断で代金後払いで自動車を引き渡すこともOKです。
ただ,その場合,後で代金を支払ってもらえなくなるリスクがありますので,販売担当者だけで判断するのではなく,必ず上の人に確認して下さい。後でお客さんに支払ってもらえず,社長からクビだと言われたときの抗弁権のために。。。(汗)